26回目の曲目

2010年8月7日(土)15:00〜16:00
暑中お見舞い申し上げます。日本中暑いですね。北海道もこんなに暑いとは信じられません。暑い時はエレキインスト特集です!夏だ!エレキだ!!サーフィンだ!!!

ホット・ドッギン・・・アストロノウツ

夕陽の渚・・・シャンティー

逃亡者・・・ベンチャーズ

ミスター・モト・・・サーフコースターズ

ブラック・サンド・ビーチ ’94・・・加山雄三

麗しき乙女たち・・・萩原健太

スリープ・ウォーク ・・・サント・アンド・ジョニー

春がいっぱい・・・ シャドウズ

ミッドナイト・・・ ピーター・グリーン

ジャニー・ギター・・・ スプートニク

さすらいのギター・・・ サウンズ

真珠採り ・・・ムスタング

ドナウ河のさざ波・・・ ジョーカーズ

心のときめき・・・ ウィリーと彼のジャイアン

キャット ・・・シャープ・ファイブ

テルスター・・・ トルネドーズ
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1. Hot Doggin' - The Astonauts
「太陽のかなた」という曲で日本のエレキ・インストブームのきっかけをつくったアストロノウツですが、実際にはヴォーカル物が主流のグループで、彼らの出身はサーフィンには無縁の海のないコロラド州です。
この曲はだれが演奏しているかは明らかにされていませんが、来日した時に猛練習をして吹き込んだ橋幸夫の「チェ、チェ、チェ」と較べると同じバンド・メンバーとは思えないグルーヴ感です。


2. Tragic Winds - The Chantays
パイプラインはベンチャーズの曲が有名ですが、オリジナルはこのシャンティーズで、出来も良い。「夕陽の渚」「ナイルは招く」の2曲も秀作です。このバンドも来日しましたが、当時の音楽雑誌にもあまり取り上げられてはいません。

3. Fugitive - The Ventures

TVで人気のあった「逃亡者」とは関係のない曲です。この美しいナチュラルトーンのギターが実に魅力的です。録音は1963年頃だと思いますが日本でのシングルの発表は66年頃です。A面は『クルエル・シー』です。

4. Mr. Moto - The Surfcoasters
中シゲオ率いるサーフコースターズです。サーフソングのツボを押さえた見事な演奏です。突然、活動を休止したり安定性に欠けますが頑張ってほしいバンドです。『ミスター・モト』はサーフインストの古典曲です。

5. Black Sand Beach '94 - Yuzo Kayama
『ブラック・サンド・ビーチ』は65年12月暮に「ヴァイオレットスカイ」とのカップリングで発売された名曲です。94年に再録されたヴァージョンが発表されましたが、30年間の時を経ても全く腕前の衰えはなく、驚いたことに演奏時間がピッタシ同じです。

6.Demure Damsel - Kenta Hagiwara
若大将の最初のアルバム「加山雄三のすべて〜ザ・ランチャーズとともに」は 1966年1月に東芝音楽工業から発売されました。
翌月の2月に2枚目のアルバム「恋は紅いバラ−加山雄三アルバム− 」が何と日本コロンビアから発売されました。多分、契約の関係だと思いますが、詳細は不明です。レコーディングは先だと思いますが、この2枚目のアルバムは傑作です。
バックは自身のバンド、ザ・ランチャーズのみで、歌はすべて英語で歌っています。後に、東芝で再演する曲も含んでいますが、こちらの方が出来はよい。若大将のギター・テクニックは年とともに円熟され、衰えを知りません。見事なセンスとテクニックです。このアルバムに『麗しき乙女たち』というタイトルで収録されていた曲を萩原健太氏が演奏しています。


下は英国盤でParlophone Label
7.Sleep Walk - Santo & Johnny

オリジナルはサントとジョニーのファリーナ兄弟が母親の資金援助を得て発売したシングルで1959年インスト曲ながら見事に全米1位を獲得するヒットとなっています。クレジットにサントとジョニーの兄弟名とアン・ファリーナという女性の名前があるのですが、母親と思われます。
番組で紹介した音源はカナダ盤のSPレコードで、レーベルはCanadian-Americanというオリジナル・レーベル(米国も同様)です。
全米1位の有名曲でありスライド・プレイが大きくフィーチャーされているせいかギタリストたちにとっても一度は挑戦してみたい曲なのかけっこうカバー・バージョンが多い曲です。ベンチャーズは2度ほどカバーしていますし、ネオ・ロカのボス=ブライアン・セッツアー、エイモス・ギャレットによるカバー、テレキャスターによる絶妙のトーン・コントロールとやさしい指使いから繰り出されるソロはまさに昇天物です。テレキャスといえばこの人、人呼んでマスター・オブ・テレキャスター=ダニー・ガットンです。伸びのあるチョーキングで男っぽいソロを聞かせます。40歳前にガレージで拳銃自殺という悲惨な最期をとげたのがつくづく残念な才能でした。他にもラリー・カールトンジェフ・ベック、ジェフ・バクスターもカバーしています。
直接のカバーではありませんが絶対この曲を下敷きにしてつくられたと思われる曲があります。それはフリートウッド・マックの「アルバトロス」です。

8.Spring Is Nearly Here - The Shadows

『スリープ・ウォーク』はこのシャドウズもカバーしています。『春がいっぱい』も『スリープ・ウォーク』のエッセンスがあります。シャドウズはクリフ・リチャードのバックバンドで、ドリフターズと名乗っていましたが、アメリカに同名のR&Bのグループがあり変更しました。
リード・ギターのハンク・マーヴィンは優れたテクニックの持ち主ですが、バンド自体はロックのグルーヴ感があまりなく、おしい存在です。

9.Midnight - Peter Green

この曲はシャドウズがオリジナルです。ピーター・グリーンフリートウッド・マックの初代リード・ギターで、大活躍をしましたが、ドラッグの影響で精神を病み、この曲は立ち直りを見せた時代の曲ですが、結局、復帰はできませんでした。それにしても美しい曲です。



「霧のカレリア」も大ヒットしました。
10.Johnny Guitar - The Spotnicks

『哀愁の北欧サウンド』というジャンルが日本にはあり熱狂的ファンが存在します。ロシア民謡、タンゴ、日本の歌謡曲等がレパートリーで、澄み切ったノンディステーション・フェンダーサウンドが基本です。冬をイメージさせる独特のサウンドでマイナーなメロディーに心が揺すぶられます。この『ジャニー・ギター』は『大砂塵』という映画の主題曲でペギー・リーの曲で有名ですが、スプートニクスによるインストも日本でヒットしました。



アルバムの裏面には「ビクター製」エレキの写真!
11.Mandschurian Beat - The Sounds

同じ『哀愁の北欧サウンド』を代表する曲です。日本ではベンチャーズのヴァージョンや歌謡曲でもヒットしましたが、フィンランド出身のサウンズの曲がやはり上をいきます。


12.Pearlfisher - The Mustangs
大滝詠一により日本に紹介されたサウンズと同じフィンランド出身のバンドです。伝統を継承した『哀愁の北欧サウンド』そのものです。選曲もモアベターね。『哀愁のさらばシベリア鉄道』『フィヨルドの少女』なんて曲名だけでも『哀愁の北欧サウンド』そのものです。

13.Danube Waves - The Jokers
スペイン出身とか、ファビュラウス・ジョーカーズとか紹介されていましたが、ベルギー出身のバンドです。ギターのテクニックは素晴らしく、ピッキング、フィンガリングが正確な上、ナチュラルトーンのフェンダーサウンドが魅力的です。アルバムも数枚発売されていますが、プロデュースがイマイチで残念です。



別ジャケのシングル盤とEP盤しか発売されなかった・・・
14.Ajoen, Ajoen - Willy & His Giants

45年くらい前、湯川れい子さんのDJ『テイチク洋盤アワー』という文字通り西洋音楽(ポピュラー)の新曲を紹介するAMラジオの番組のタイトルテーマでした。ジャマイカのスカで、『ローレス・ストリート』ってタイトルでカバーしていたグループがありました。
多羅尾伴内楽団Vol.2〜村松邦男のエレキをフューチャーして』にもカバーされています。『心のときめき』というタイトル通りの曲です。

15.The Cat - Sharp Five
三根信宏氏(ディツク・ミネ氏の三男)は、4才の時に弦楽器(ウクレレ)と出会い、7才にしてギターを弾き15才でプロ活動を始める。1963年(18才)にはバンドリーダーとなってブルーファイヤーを結成。恵まれた才能はすでに頂点に立ち、華麗なギターワークは聴く人、観る人を圧倒してしまいました。1964年に彗星の如く現れた“井上宗孝とシャープファイブ”。
当時のエレキブームの先駆者として、寺内タケシとブルージーンズとともに、常に王者の地位を築いて行きました。
エレキ・インストゥルメンタルにおいてはリード・ギターの存在が大きいウエイトを占めるところだが、65年にブルーファイヤーからシャープファイブに抜擢された三根信宏氏のギター・テクニックは、他の追従を許さない、世界的なギターリストとなって行きました。1965年6月に始まった、フジTV「勝抜きエレキ合戦」のレギュラー・バンドを努め、番組中番での模範演奏は全国のアマチュアバンド達に強烈な刺激を与えました。


 16.Telstar - The Tornados

1962年、英国の一枚のレコードがアメリカのチャートでナンバー1を獲得する。その曲の名は『テルスター』。同年、初の商業通信用人工衛星『テルスター1号』が打ち上げられることで、米英間のテレビの中継放送が可能になり「宇宙中継」の時代がはじまった。今でこそ衛星放送という言葉が定着しているが、当時は、「宇宙放送」などと呼ばれていた。1963年には日米をつなぐ初めての衛星中継が放送された。第一報はケネディ暗殺の報でした。
前述の『テルスター』というインストゥルメントのナンバーは、この人工衛星の名前から名付けられました。この曲を演奏したのはトーネードズというグループだが、実質的にはジョー・ミークというスタジオエンジニア上がりの音楽プロデューサーの作品です。ジョー・ミークは音楽スタジオのエンジニアとしてキャリアをスタートさせているが、もともとは電機メーカーのエンジニア。その後は米軍でレーダー技師を務めた。
ジョー・ミークは、楽譜が読めず、楽器にも疎く、なにより音痴だった。彼の残したアウトテイクにはそれを証明する鼻歌なども残されている。オーバーダビングなどのテープ編集技術を駆使してずたずたにし再構成する。それがミークの作曲の作法でした。ヒットした『テルスター』も少ない音階で書かれたポップソングだが、調性が薄く、明らかにどこかがおかしい。
そして彼のライフワークは宇宙にしか存在しないだろう「未知の音」を作り出すことだった。軍に在籍していたときにレーダー技師としてあらゆる音に耳を傾けていたことが、このライフワークへとつながったのだろう。そのコンセプトのもと製作された『I hear a new world』は、なぜかEPに分断され、コレクターズアイテムになった。
この音源は90年代にCDとして初めてアルバムとしてまとめられた。ジャケットは印象的な紫色の宇宙。中に収められた音楽には『Orbit Around the Moon』、『Dribcots Space Boat』など、宇宙に絡んだタイトルが並ぶ。ジョー・ミークの活躍は1960年代前半をピークに衰えていった。なかでも、とある男性歌手のプロデュースを断ったことが痛かった。その歌手の名はトム・ジョーンズ。彼は他のプロデューサーの手にかかりデビューし、1960年代の英国を代表する男性歌手になった。
ミークを巡る最も奇妙なエピソードはその死だ。1967年、彼は自分の住むアパートの管理人の女性を銃で射殺し、その後自殺を遂げた。ミークが死を選んだ2月9日は、彼が心酔していたバディ・ホリーの命日だった。ジョー・ミークに見捨てられたトム・ジョーンズのその後の話をすると、彼はビートルズに並ぶ人気を博す歌手となったが、70年代以降はパッとしなかった。そして次第に稼ぎの場をラスベガスのホテルのショーへと移すことになる。しかしその彼も90年代に再び名声を取り戻す。火星人の襲撃から地球を救ったのだ。
ティム・バートン監督の『マーズ・アタック』の中での話だ。『マーズ・アタック』は地球が火星人の侵略を受ける内容のコメディ映画。森の動物たちにトム・ジョーンズのヒット曲である『よくあることさ』を唄って聞かせるこの映画のラストシーンは素晴らしかった。(かなり年を取った印象はまぬがれない。)
ここからは時間がなく、オンエアーされませんでした。

 Sarf Jam - The Beach Boys

ビーチ・ボーイズも実は、あまりサーフィンには縁のないバンドです。このインスト曲は、なんとシングル・カットされヒットしました。アストロノウツと同じく、この演奏者も正確には明らかにされていません。 

Pipeline - The Chantays
「テケ・テケ」と言われるグリッサンドだが、なかなか微妙なテクが必要です。ヴェンチャーズ・ヴァージョンの「パイプライン」はノーキーによるものだが、ドンの方が「テケ・テケ」は上です。このシャンティズの「テケ・テケ」も最初の少しの間が気持ちいいです。


英国製モノ盤と亜爾然丁モノ盤

Tomorrow's Love - The Ventures

彼らの最高傑作といわれる1965年発売のノック・ミー・アウトというアルバムに入っているトゥモローズ・ラブという曲です。ミディアムテンポの実によくできた曲です。日本のアルバムには、再発盤を含め、CDにも収録されていますが、アメリカ盤はファーストプレスのみにしか入っていません。英国盤も同じです。代わりに、「ベンチャーズ・イン・スペース」というアルバムに入っていた『ラブ・ゴッデス・オブ・ビーナス』という曲が入っています。昔から不思議に思っていましたが、どうも盗作問題を避けたようです。いろいろと調べた結果、この曲はトラベラーズというバンドの『スパニッシュ・ムーン』という曲のコピーのようです。レコードは日本では発売されていなく、アメリカ盤のシングル盤を苦労して探しました。レコード会社はボウルトといって、アトランティックの子会社です。主にR&Bのレコードを発売していて、エレキインストのレコードを発売することが珍しいと思います。聞いてみると、出来は歴然としています。ベンチャーズのほうが完成度が高く日本で人気の高い曲であるとの理由も納得できます。ただベンチャーズの連中はこの曲のことを話題にするのを避けています。

Sea Knows - The Surfcoasters
こんな曲を演奏出来る実力を持つインストバンドがいる事に驚きました。いいセンスです。

El Choclo - The Jokers
何故かレコード会社が変わってもジャケ写真は同じとは・・・しかし、ギターのテクは素晴らしい!


Black Sand Beach - Yuzo Kayama
なぜか、私はこのシングル盤を10枚以上所有しています。(赤盤は数枚)

Fever - The Ventures
ベンチャーズの隠れた名演!!!

Twelfth Street Rag - Roy Clark

ロイ・クラークはワンダ・ジャクスンのバック・ギタリストとして活躍しました。ワンダ・ジャクソンの1956年から1961年のロカビリー時代から集められたデビュー曲のI Gotta Know、Riot in Cell Block #9、Fujiyama Mama、Let's Have a Party などでギターを演奏しているのはJoe Maphis、Buck Owens、Vernon Sanduskyで、スチールはRalph Mooney、ピアノがMerrill MooreとBig Al Downingのようです。ロイ・クラークはそのあとでしょうね。なかなかの早引きです。

Keep Seachin' - Dr. K Project

ベンチャーズコピーバンドは日本中にたくさんあるでしょう。NHKのオヤジバンド・コンテストには必ず登場します。その見本とも言える(アマチュア扱いしちゃまずいか)Dr.K Projectは、89年に徳武弘文がファースト・ソロ・アルバムのタイトルを【Dr.K Project】名義でリリースし、ライブのためのバンドを結成したことに始まります。2001年11月には、徳武の長年の夢であった、ナッシュビルの音楽集団“エリア・コード615”との奇跡の再編成ライブを日本において実現!翌年ロコス・レコード第一弾作品としてON AIR WESTでのライブの模様を『Area Code 615 Tribute Live』としてリリースしています。

Che, Che, Che - The Astronauts

1曲目の『ホット・ドッギン』と別ショットの写真を使ったジャケットです。中身は別ショットどころではない違いがあります。ルーズなリズムがガレージ的で個人的には嫌いではない曲です。

The Cruel Sea - The Dakotas
英国のバンドのダコタスがオリジナルです。彼らはビリー・J・クレーマーのバックバンドでした。ベンチャーズと同じ東芝音楽工業から発売されていたためか、シングル盤としては発売されませんでした。
The Savage - The Ventures

逆にこれはシャドウズの曲として有名なため、ベンチャーズのシングル盤は未発売です。走り気味のメル・テイラーのドラムが機関車並の迫力です。ノーキー・エドワーズのギターもハンク・マービンより色気があります。米国ではシングル盤として発売されました。

Apollo 11 - The Houstons

「アポロ11」という企画もののシングルだけを残したバンド。寺内タケシの変名ではという噂もあるが違う。「アポロ11」はむちゃくちゃ完成度の高い曲でしかも少しヒットした。B面の「静かの海」は電子的な響きを持つ環境音楽的な楽曲。ちなみにアメリカでも発売されたというが、実はよくわからない。米国盤は発売されたかはともかく現存しており、日米の両盤でステレオミックスとモノミックスの違いがある。A面は複数のCDで聞ける。ちなみにレコードジャケットに「日本初のインストゥルメンタル・ヒット」である旨が書いてあるが、余りにも荒唐無稽な嘘なのに何故かこれを真に受ける人もいて嘆かざるを得ない。

Hotfoot - Al Casey


この曲は『BEET POPS CLUB』のオープニング・ナンバーなので、皆さんは耳たこだろう。ギターとオルガンを弾いているのは、アル・ケーシーというスタジオ・ミュージシャンで、いろいろなレコードでギターを弾いている。アストロノウツのほとんどの曲でリード・ギターを弾いている。