43回目の曲目

ローリング・ストーンズ、第2回目の特集です。

ブライアンの隣の女性は誰でしょう?お分かりの方に抽選で豪華賞品を差し上げます。





1.タイム・イズ・オン・マイ・サイド
2.オー・ベイビー
3.ダウン・ザ・ロード・アピース
4.ラスト・タイム
5.サティスファクション
6.一人ぼっちの世界(ゲット・オフ・オヴ・マイ・クラウズ)
7.シー・セッド・イェー !
8.トーキン・アバウト・ユー
9.19回目の神経衰弱
10.アウト・オヴ・タイム
11.黒く塗れ!
12.夜をぶっとばせ!
13.ミス・アマンダ・ジョーンズ



1. Time Is On My Side



1941年、ニュー・オリンズで生まれた、アーマ・トーマスの1964年のヒットがオリジナルです。カバー物ながら、ストーンズがこのバージョンをアメリカで大ヒットさせたので、今では完全にストーンズのオリジナルと化している名曲・名演です。
ファルセットのコーラスと間奏のギターも完全にキマッて、当時の白人バンドとしては、これ以上無い黒っぽい仕上がりのなっています。それにしても、この間奏のギターソロはブライアン・ジョーンズなのか? キース・リチャーズなのか?
この曲には2つのテイクがあり、イギリスで初出となった同曲はオルガンでは無く、このギターのイントロがついた、通称「Guitar Intro Version」と呼ばれるものです。

2. Oh Baby




ストーンズのカバーの上手さが実感出来る演奏で、オリジナルは黒人女性R&B歌手であり、左利きのギタリストとしても有名なバーバラ・リンが、1964年7月に放ったヒット曲です。
その原曲はブラスを取り入れた華やかなバックと温か味のある彼女の歌唱が完全に融合した素晴らし仕上がりでしたが、ストーンズはそれをギター中心の巧みなアレンジで変換し、ロック風味を強めた楽しい演奏にしています。

バーバラ・リンは、1984年に来日しています。札幌でも大谷アポロ・シアターでライヴが行われました。

Barbara Lynn "Live In Japan! (2 CDs)" [VIVID SOUND VSCD-3044]

DISC I
1. Second Fiddle Girl 2. Oh Baby 3. Here I Am 4. I'm Sorry I Met You 5. Until Then I'll Suffer 6. You're Losing Me 7. New Way Of Loving You 8. Letter To Mommy And Daddy 9. Sweet Sixteen

DISC II
1. You'll Lose A Good Thing 2. I'm In Love 3. Laura's Wedding 4. Give Me A Break 5. You Don't Have To Go 6. So Good 7. Come Back My Love

1984年の来日公演をライブ録音した Barbara Lynn のアルバム。2000年に CD 化。

3. Down The Road Apiece


オリジナルは1946年、アラディンから発売されたエイモス・ミルバーンの曲だが、ストーンズは1960年のチャック・ベリーのカバー曲をカバーしています。

4. The Last Time


 ブライアン・ジョーンズの弾き出すウネリのリードギターが強烈な会心のオリジナル曲です。この元祖ハードロック的なノリは最高です。
 ちょっと聴きにはシンプルな演奏ですが、実はギターが3〜4本重ねられ、タンブリンで強調されたビートも心地良く、最後には絶叫するミック・ジャガーのボーカルという、ヒット曲の王道をきっちり押さえた作りになっています。
5. (I Can't Get No) Satisfaction



ストーンズ初の全米チャート1位曲というよりも、これ無くしてはロックは語れないという歴史の一部です。曲そのものは覚えやすいリフを使った単純なものですが、そこに付けられた「満足出来ないぜっ!」という歌詞が、ロックンロールの原点と本質を鋭く突いて、強烈です。
 
 また、その歌詞の3番にある「Girlie Action」が「Girl Reaction」に聴こえるとして放送禁止にしていたラジオ局があったのも、有名な空耳伝説です。
 印象的なリフにはファズギターが用いられ、曲の大部分はキース・リチャーズによって書かれたと言われていますが、タンブリンで強調されたビートは明らかに当時流行していたモータウンサウンドの影響が大きく、さらにバンド全体の勢いは狂熱的! このレコーディング当時の彼等は3回目となるアメリカ巡業の真っ最中とあって、各地で騒ぎや問題を起こしていましたが、このRCAスタジオやシカゴのチェススタジオでは、きっちりとセッションを敢行しており、当に上昇期の勢いがそのまんま録音されたという事でしょうか。
6. Get Off Of My Cloud


待望の新曲は、またまたアメリカ先行発売となりました。このあたりの戦略は、完全に世界の市場を相手にしていることの表れでしょう。実際、日本でも、このシングル盤あたりから、英国よりは米国仕様のカップリングに拘るようになっていきます。
 肝心のヒット状況は、もちろんアメリカではA面曲がチャート1位の大ヒットになっています♪
 しかし当時のストーンズをとりまく状況は混迷の度合いが強くなり、バンド自体はイケイケの勢いにありながら、マネージメントではアンドルー・オールダムが自分のレコード会社「イミディエイト:Immediate」を発足させたこと等から、ギクシャクしたものになっていきます。実際、このシングル盤製作については、キース・リチャーズがアンドルー・オールダムを露骨に批判しています。
 そして、そんなこんなのストーンズに接近してきたのが、芸能界専門で悪名高い会計士のアレン・クライン:Allen Klien でした。もちろんこの人は、後にビートルズ解散騒動に一役かった歴史上の人物です。
 また巡業では暴動や騒ぎが頻発し、メンバーがステージで襲われたり、ホテルでは滞在拒否、おまけにブライアン・ジョーンズビル・ワイマンミック・ジャガーの3人が、ガソリンスタンドの壁に立ちションをして有罪判決……等々、狂騒が続いていたのです。
7. She Said Yeah

如何にもストーンズらしい凶暴なギターロックになっていますが、オリジナルはアメリカはニューオリンズ出身の黒人R&B歌手=ラリー・ウィリアムズ:Larry Willams が1959年に放ったヒット曲です。この人はビートルズでお馴染みの「Dizzy, Miss Lizzy」とか、けっこう騒がしいノリが得意だった人で、一時はリトル・リチャードの対抗馬とされていた時期もあった人気者でした。
 ストーンズのアレンジは、例によってホーンのリフをギターに置き換えたグイノリのロック! この歪んだギターの響きがたまりません 。
8. Talkin' About You

ストーンズが敬愛するR&Rの神様=チャック・ベリーのオリジナルを、大胆にも南部ソウルに作り変えてしまった大名演です。とくにかくタメの効いたノリと鋭角的なギターが最高ですし、ミック・ジャガーの粘っこいボーカルがド迫力♪
 しかもキース・リチャーズビル・ワイマンによる怠惰なコーラスが、後のサイケなブルースロックを先取りした雰囲気ですから、たまりません♪ もう何度聴いても飽きないですねぇ〜♪
9. 19th Nervous Breakdown


4度目の北米巡業を終えた直後のストーンズが、その勢いをそのまんまに行った録音セッションで完成させたオリジナル・ロックンロールです。そのサウンドはギター中心の軽めの仕上がりですが、彼等がお得意のボ・ディドリーのビートが隠し味になっています。それは終盤で聴かれるギターのテケテケやチャリー・ワッツの隠れドドンパビートに顕著で、楽しさ満点♪
 この黒くて軽妙な音作りは、1966年に本格デビューするアメリカの産業アイドルバンドのモンキーズThe Monkees に受け継がれますが、それはこのセッションに絡んだジャック・ニッチェと繋がりがある専業作家やスタジオ系ミュージシャンが作り出したものというあたりが、味わい深いところです。
10. Out Of Time


まずイントロのリズムパターンは、もちろんフィル・スペクターからのパクリというかリスペクト♪ そしてラテン色のギターやビート感覚は、やはりフィル・スペクターが絡んでいた黒人コーラスグループのドリフターズ:The Drifters からの影響がモロです。
 しかもブライアン・ジョーンズマリンバで全篇に絶妙の味付けを施し、「泣き」を含んだメロディ展開ではサビのコーラスが否が応でも盛り上がります。もちろん強靭なエレキのリズムギターやブリブリのエレキベースが効いていますから、ロックの本質も見失っていません。
11. Paint it, Black



中近東〜インド方面のモードを取り入れ、ブライアン・ジョーンズシタールが全篇をリードする強烈なロックヒットです。ちなみに、こういう曲調や演奏は当時、ラガロックと呼ばれ、最先端のブームとなりましたが、もちろんその先駆はビートルズということで、ストーンズの後追い体質が露わになっておりますが、そういうものをロックに変換した見事さではストーンズの勝ちだと、私は思います。
 ブライアン・ジョーンズは、この演奏のためにシタールを特訓し、わずか数時間で見事に弾きこなすという楽器の天才ぶりを示し、ビル・ワイマンのベースは、後年のテクノポップのビートとフレーズを弾き出すというブッ飛び方ですからねぇ〜♪ ミック・ジャガーのボーカルも粘っこい!
 そして当時の映像を観ると、この曲ではブライアン・ジョーンズだけが胡坐でシタールを抱えて熱演している姿が、物凄いインパクトを残しています。
12. Let's Spend The Night Together

「俺は盛り上がっている、快調だぜっ、お前をリードしてやる、夜を一緒に過ごそうぜっ♪」という、モロにセックス、ドラッグ、ロックンロールを歌いまくった、如何にもストーンズらしいストレートに反社会的な歌詞が強烈! しかし曲メロやサウンド作りは、なかなかに凝っています。
 まず特筆すべきは、ロックと言えばエレキギターという部分が否定されていることです! で、逆に強調されているのが、ピアノとベース、それにタイトなドラムス、そして微妙に可愛らしいコーラス♪ ちなみにピアノはジャック・ニッチェ、ベースはキース・リチャーズビル・ワイマンがオルガンを担当したと言われていますが、それじゃブライアン・ジョーンズは何をやっていたの? 悪いクスリで体調が?
 まあ、それはそれとして、この曲のキメは、やはり中間部の「らしくない」ロマンチックなコーラスでしょう。ビーチボーイズビートルズの良いとこ取りみたいでもあり、それはサイケロックが大きく開花した1967年の幕開けを飾るに相応しい彩になっています。
 それとこの曲にまつわる有名なエピソードが、1967年1月13日のエド・サリバン・ショウにおける歌詞変更事件です。それは「let's spend the night together」を「let's spend sometime together」に強制変更させられたわけですが、ビデオを観るとミック・ジャガーはモゴモゴ発音してごまかしているのに、キース・リチャーズは堂々と「sometime」を発音しており、笑えます。ちなみに、この時の演奏はカラオケをバックにボーカルだけが本物でしたが、ブライアン・ジョーンズがピアノを見せかけに弾いているのが印象的でした。
13. Miss Amanda Jones

最高に楽しいギターポップというか、初期ビートルズの様でもあり、しかしこれは、やっぱりストーンズでしかないという2本のギターの絡みとか、聴いていて血が騒いでくる名曲・名演です。ミック・ジャガーのボーカルも持ち味のダーティなところが、完全にロックしていますねぇ。
 すっかり伝統芸能化している最近の彼等には、ぜひともライブで演奏してもらいたいと、心から願っているほど、私がこのアルバムで一番好きな曲なのでした。
 ちなみにモノラルバージョンはステレオバージョンに比べて、明らかにピッチが遅く、しかもボーカルが強いミックスになっています。