42PP 6F6-G PP AMP





BEET POPS CLUBはアンプのブログではないので、難しい話はしませんが、回路方式に2種類あります。それは簡単に言うとFenderGibsonのギターに似ています。FenderのStratcasterとGibsonのLes Paulを比べるとギターマイク(ピックアップ)の形状が大きく違います。Stratには細いマイクが3個付き、Les Paulには太いマイクが2個付いています。切り替えSWにより使い分けが可能です。それぞれ、シングル・コイルとダブル・コイルと言い、ダブル・コイルはハムバッキング・マイクとも言います。
原理はシングルピックアップを二つ並べ、二つのピックアップの内、一つをHOT(+)とCOLD(−)を逆にして(例えば一つが右巻回り、もう一つが左巻回りみたいになり、片方が逆巻になる)直列につなぐと、ノイズも弦音も打ち消し合って(+と−)ゼロになる、そして今度は、二つのピックアップの内、一つを磁極を変えて(例えば一つがS極、もう一つがN極みたいになり、片方が逆磁極になる)みると、ノイズの相は変わらず(+と−)ノイズは打ち消し合ったままで、弦音の相は変わり(+と+)、ノイズは消えて、弦音は倍の出力を得ることが出来ます。これがハムバッキングピックアップです。




アンプの回路にも同じ様な事が言えます。個人的には断然、シングル回路のアンプが好きです。パワーが無い、ノイズが多いという欠点はありますが、音離れが良い、音の輪郭が良い、音が潰れない、言わばFenderのギターの音のような感じです。しかし、Les Paulのように低域が充実した迫力さには欠けます。ギターもアンプも工夫により欠点を補う技術はあるので、好みの問題ではあります。アンプのLes Paulに当たるハムバッキング・タイプがプッシュプル回路と言い、出力管を2本使ったアンプです。真空管アンプで10W以上のものは、ほぼこのプッシュプル回路(PP)を採用しています。
私の製作したプッシュプル・アンプは5・6台です。写真は古典的回路の42のナス管を使ったPPアンプと同性能のG管、RCA 6F6-GのPPアンプです。モノラル・アンプですので、ステレオには左右各チャンネルに使用します。
PPアンプには電圧増幅管(ドライバー管)の次に電気信号の位相を変換させる位相反転管が必要で、その後に2本の電力増幅管(パワー管)が基本となります。交流を直流にする整流回路にも真空管または、ダイオードを使用します。
それぞれ、77-76-42×2-80, EF37A-L63-6F6G×2-5Y3GTAと言う構成です。トランス類は同じものを使っています。音はどうかと言うと、昔の電蓄の音です。Swing Jazzなんか聴くと最高です。

LUX KIT A-3500 6CA7(3結)PP 20W+20W 1972年 48,000円(その後、何度か値上げ)

ラックス㈱には、モノラル時代から、キットという独自の商品がありました。キットは、パーツでもなく完成品でもない、いわば未完成の商品ですが、この未完成のところに、また、多くの可能性が残されています。
完成品の場合は、メーカーからの一方通行ですから、求める側は、どれを選ぶか、という問題だけになってしまいます。
この点キットは、自らの手で組み立て仕上げるわけですから、参加する楽しさが残されています。そして、さらに自作へ、という高いステップへ進むきっかけとなります。
LUX KITの名声を決定的なものとしたA-3500と、同時に発売された管球式プリアンプ・キット A-3300(36,000円)を組み立てるという事が無ければ、以後の自作はありえませんでした。(当時の84,000円は今の数十万でしょうネ。)今でもこのアンプは手放すことなく、愛用しています。コンデンサ類、抵抗、配線の変更を2度ほど実施しています。真空管は独逸製のSiemensを使用しています。
多極管(ビーム管と五極管とその仲間を総称してこう言う)はいろんな使い方ができます。 SG(スクリーン・グリッド)をプレートに接続すると、SGから高い帰還がかかるので、出力が電圧性になり、三極管みたいな特性になります。 これを三極管接続(通称、三結)と言います。出力は落ちますが、音質は向上します。特に6CA7は三結接続すると音が良くなります。オーディオ用の銘球に直熱三極出力管(カソードがない)が多いです。         WE-300B、211、845、45、50、DA30、PX-4、PX-25、2A3等々です。
真空管は過去の遺物でも、ノスタルジックなものでもなく、オーディオという趣味の立場からは不動の位置を占めています。
今もいろいろなメーカーからキットが発売されています。シャーシーからパーツまですべて揃っていますので、興味のある人は挑戦してみて下さい。自分が組み立てたアンプから音が出たときは、何よりも感動します。