52回目の曲目
ローリング・ストーンズ 第4回目
6月に続き4回目の特集です。ハイペースです。
1.ストレイ・キャッツ・ブルース
2.ヤー・ブルース
3.ホンキートンク・ウーマン
4.無情の世界 (single edit version)
5.ギミー・シェルター(ヴォーカル ミック)
6.ギミー・シェルター(ヴォーカル キース)
7.むなしき愛(ラヴ・イン・ベイン)
8.リヴ・ウイズ・ミー
9.レット・イット・ブリード
1.ストレイ・キャッツ・ブルース
英国モノ盤 BEGGARS BANQUET
後年、発売されたORIGINAL没ジャケ
ストーンズ流儀のブルースロックと言えば、この曲です。最初から最後まで、全くエレキでドロドロな演奏で、ブライアン・ジョーンズとキース・リチャーズのギターの絡みが上手くいった時の凄みが全開しています。ストーンズだけのビート感に溢れたノリが実に良い.
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド:Velvet Underground の「Heroin」という曲にイントロからの雰囲気がそっくりなのは有名! これはミック・ジャガー本人も認めているところですが、そんな事には気づきません。
2.ヤー・ブルース・・・ダーティー・マック
1968年製作の未放送テレビフィルム、「ロックンロール・サーカス」と名付けられたテレビショウです。12月11日〜12日の2日間で収録
これはクリスマス・シーズンに合わせてBBCで放映する予定で作られた特別番組で、出演はストーンズの他にジョン・レノン、エリック・クラプトン、ザ・フー、ダジ・マハール、マリアンヌ・フェイスフル、ジェスロ・タル等々、まさに1960年代ロックのある一面を象徴する興味深い面々です。タルは新人ながら非常に濃い演奏をしてます。(ただし、口パクです。)
John Lennon(vo,g) Eric Clapton(g) Keith Richard(b) Mitch Mitchell(ds)
この企画の目玉バンドがこれで、メンツを見ただけで仰天だと思います。しかもやっているのが、ビートルズとしてはピカピカの新曲「ヤー・ブルース」で、これは3週間程前に発売されたばかりの「ホワイト・アルバム」収録曲なのです。で、この演奏はなかなか荒っぽくて迫力があります。特にクラプトンはクリームを止めたばかりだったせいか、吹っ切れたような味が感じられます。ちなみにバンド名の「Mac」は「McCartney」から付けられているのは、言わずもがなです。
当時英国で人気あったFleetwood Mac説もありますね。(Mick Fleetwood / John McVie)
で、結論から言うと、これは放送されずに「お蔵入り」しています。
理由は様々に取りざたされておりますが、一説にはミック・ジャガーが仕上がりに満足していなかったからとか……。
3.ホンキートンク・ウーマン
1969年に入って初めて発売されたストーンズの新譜ですが、もちろん大ヒットした事実以上に、様々な意味で大きな出来事を含んでいます。
まず一番驚かされるのが、ストーンズのリーダーだったブライアン・ジョーンズのグループ脱退! そして代わりのギタリストとしてミック・テイラーの新加入です。
7月3日午前零時過ぎ、ブライアン・ジョーンズが自宅プールの底に沈んでいるのが発見されるという悲劇! 死因は溺死と公表されたものの、その背景にはドラッグの過剰摂取、自殺、他殺、事故……等々、事件直後から今日まで様々な憶測が囁かれ、関連書籍や映画が発表されています。近年では2005年に公開されたスティーヴン・ウーリー監督の「ストーンズから消えた男」が記憶に新しいところでしょうが、真相は依然としてプールの底です。
こうして劇的な混乱の最中、7月4日にはこのシングル盤が発売され、翌日のハイドパーク無料コンサートは急遽「ブライアン・ジョーンズ追悼公演」として予定通り開催されるのですが……。またこの日は、テイラーの紹介ライブとなってます。
ちなみにこの曲も当時のシングル盤では当たり前のモノラルミックスで、後年、様々なアルバムに収録されるバージョンと比べると、ピッチが幾分早くなっています。しかもオリジナル・モノラルバージョンは、2008年2月現在、未CD化
4.無情の世界
アルバム「レット・イット・ブリード」に収録の名曲をシングル盤用に短く編集したバージョンです。
そして録音時期やゲスト参加メンバーからも推察出来るように、ここにはブライアン・ジョーンズ、ミック・テイラー、さらにはチャーリー・ワッツも演奏に加わっていませんが、共演者の中ではアル・クーパーのオルガンとピアノが良い味を出しまくり
5.6.ギミー・シェルター
英国モノ盤 LET IT BLEED
UNBOXED DECCA
BOXED DECCA
ハイドパークでのフリーコンサート、2枚目のベスト盤発売を経てブライアン・ジョーンズ時代に一区切りを付けた新生ローリンク・ストーンズは、いよいよ1969年秋から活動を再開します。Let It Bleed発売日:1969年11月28日(米)発売日:1969年12月6日(英)イギリスではモノラル盤も発売されています。
ただしそれはステレオミックスを単にモノラルに落とした感が強く、特段のバランスの違いとか別バージョンの存在を確認していません。それでもこのモノラル盤は音圧が高いというか、なかなか骨のあるロック王道の音が楽しめます。
ゲスト参加でミック・ジャガーと対等に熱いゴスペル系ボーカルを聞かせるメリー・クレイトン! この人は黒人女性歌手で、レイ・チャールズのバンドではコーラス隊のレギュラーも務めていた実力派でありながら、当時は下積みでした。この曲には、キースがヴォーカルをとるヴァージョンがありますので、続けて紹介します。60年代の終わりを象徴するストーンズナンバーですね。
7.むなしき愛(ラヴ・イン・ベイン)
偉大なるブルースマン、ロバート・ジョンスンの曲です。
親しくしていたグラム・パーソンズ:Gram Parsons という、1968年当時はアメリカの有名バンドだったザ・バーズ:The Byrds のメンバーから受けた影響だと言われています。
この人は元祖カントリーロックのひとりとして、今では伝説のインターナショナル・サブマリン・バンドを結成し、後に同じエージェントに所属していた前述のザ・バーズへ移籍、サイケポップスからの脱却を図っていたバンドをカントリーロックに導いた才人でした。さらにそこから独立した1969年にはフライング・ブリトー・ブラザースというバンドを作り、よりR&B色が強いカントリーロックを追求していきます。それは後にイーグルスやポコといった所謂ウエストコーストロックの成功にも多大な影響を与えた活動でしたが、残念ながらグラム・パーソンズはドラッグ癖で1973年9月に早世しています。
そしてもうひとり、決して無視出来ないのが、ここでマンドリンを弾いて参加のライ・クーダーの存在です。この人も今ではロックというよりも汎用ミュージックの世界では大御所になっていますが、この頃はアメリカでブルースや民謡、古いジャズや黒人伝承歌を掘り起こしてサイケロックに繋げる活動をしていたようです。しかし当時は全く表舞台でブレイクする事がなく、それでも素晴らしいギターの腕前を高く評価され、スタジオミュージャンとして重宝されていたのです。そして特にストーンズとも関係の深いジャック・ニッチェがライ・クーダーを信頼していたことから、2人はミック・ジャガーの映画「青春の罠:Performance」のサントラ作りの仕事等で1968年〜1969年にかけて何度か渡英し、その流れからストーンズのセッションにも参加していたのです。
このアルバムのギターパートはキース・リチャーズがほとんど全てを担当しています。
8.リヴ・ウイズ・ミー
イントロから蠢くエレキベースはキース・リチャーズが弾いていて、何故かここでもビル・ワイマンが不参加とはいえ、強引にうねるレオン・ラッセルのピアノ、バックから聞こえてくるミック・テイラーのファンキーなコードカッティングが最高なスワンプロックです。
そして間奏にはボビー・キースのテナーサックスが熱狂的に咆哮します。
9.レット・イット・ブリード
このアルバムタイトル曲は、その曲名からして同時期のビートルズが大ヒットさせた「Let It Be」を否でも連想させられてしまうのですが、もちろん公式にはこちらが先に世に出ています。う〜ん、それにしても「血を流せ」という曲名は、この年7月のブライアン・ジョーンズの死、あるいは12月の「オルタモントの悲劇」がありますから、なかなかエグイものがありますねぇ。実際、歌詞の内容もコカイン中毒とかセックスを超越した人喰い願望とか、アブナイ限り……。