RCA 2A3 LOFTIN-WHITE SINGLE AMP

RCA 2A3 SINGLE PLATE

RCA 2A3 DOUBLE PLATE

RCA 2A3 LOFTIN-WHITE SINGLE AMP

1933年頃に米RCA(Cunningham)から直熱式3極管、2A3が発表されたのですが、最初はトラブル続きで、フィラメント電圧が2.5Vと低く、フィラメント電流も2.5アンペアと大電流で、幾重にも折畳まれた細いフィラメント線がグリッド線とショートする事故が多発し、2A3を開発したRCAはしばらくして電極構造を改造、新しい電極構造を持つ2A3に変更しました。初期に開発された2A3は特別にシングル・プレートと呼ばれ、今では残っているものが大変少なく、珍重されています。後期型の2段(H型)プレートタイプや2枚プレートタイプの方が有名ですが、開発当初のシングルプレートタイプは、昔から憧れの的でした。
特に、そのフィラメント構造が独特で、細いフィラメントが10往復している様は、見ているだけでも痺れます。もちろん出てくる音も最高で、これが本当の2A3の音と思います。後期の2段(H型)プレートや2枚プレートの2A3は、"2A3モドキ"とでも言うべきでしょう。(近年、某国で製造のシングルプレート2A3として売られている球はもちろん論外です。)
直熱3極管の中で類似管も含め米国はもとよりヨーロッパ・アジアなどでこれ程沢山のメーカーで製造された球は他にないでしよう。
その後真空管も進歩に伴いいつの間にか効率を求める様になり2A3はバイアスが深くドライブし難い球の代表にされ、新型傍熱3極管との性能比較の対象とされてきました。
しかし、高効率が必ずしもオーディオ的メリットに成るとは限らないことは真空管の世界でも言える様で、現在でも2A3の人気は衰えていません。アメ球(米国製の真空管)の中でWE300Bがキングなら2A3はクイーンと言ったところでしょうか。
三極出力管は グリッド電流が流れやすくドライブするのが大変困難でした。有名な回路に、1929年にロフチン氏とホワイト氏により考案されたロフチンホワイトアンプがあります。
ロフチンホワイトアンプの特徴は前段の増幅回路と出力回路が直結となっていて、初段増幅器の入力トランスを無くし、出力増幅段との間の結合トランスも不要にした直結アンプです。これにより、グリッド電流の流れやすい直熱三極管などドライブしやすくなります。 しかし、前段とのヒートアップ時間のズレにより、出力管のグリッドに大きな電流が流れ、 その結果プレートが赤熱し、真空管の寿命が非常に短くなります。これを防ぐため現在の回路は電源回路をタイマーでコントロルしたり、整流管に傍熱管を使用したり、 また、前段に直熱管を使用したりと工夫をしています。