40回目の曲目

THE ROLLING STONES は、1963年にデビューしたイギリス・ロンドンのロックバンド。ストーンズの第1回目の特集です。


大好きだったブライアン・ジョーンズは10代ですでに子供が2人いたとか・・・

1.カムオン

2.アイ・ウオント・トゥー・ビー・ラヴド

3.彼氏になりたい

4.バイ・バイ・ジョニー

5.マネー

6.ユー・ベター・ムーヴ・オン

7.ポイズン・アーヴェィー

8.ルート66

9.キャロル

10.ウォーキン・ザ・ドッグ

11.イッツ・オール・オーヴァー・ナウ

12.アラウンド・アンド・アラウンド

13.渚のボードウォーク

14.ユー・キャント・キャッチ・ミー

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1・・・ Come On

2・・・ I Want To Be Loved

記念すべきストーンズのデビューシングル盤で、両面ともモノラル仕様です。  日本では昭和41(1966)年2月20日に発売されていますが、アメリカでは未発売でした。『カムオン』はチャック・ベリーのカバーで、原曲はラテン味のリズムとサックスも入れたポップな仕上がりでした。イギリスのチャートで21位まで上がるヒットを記録していますが、実際のライブではほとんど演奏していなかったとか……。
この曲はリアルタイムのアメリカでは未発表、1972年になってから米国ロンドンレコードが主導して編集したアルバム「モア・ホット・ロックス」に収録され、ようやく発売されています。
『アイ・ウオント・トゥー・ビー・ラヴド』はシカゴブルースの巨匠=マディ・ウォーターズMuddy Waters のカバーですが、ストーンズの演奏は原曲よりもテンポを上げ、ロックンロール・ブギっぽいアレンジになっています。メチャ、カッコ良いハーモニカはブライアン・ジョーンズか? これもアメリカでは長らく未発表で、1989年に「シングルコレクション」に収録され、ようやく陽の目を見ました。

3・・・I Wanna Be Your Man



ストーンズの第2弾シングルで、両面ともモノラル仕様です。日本では彼等のデビュー盤として、昭和39(1964)年3月20日に発売されています。
なんとビートルズからの頂き物ですが、ブライアン・ジョーンズのスライド・ギター、ボンボン跳ねるビル・ワイマンのベース、残響音もビートに取り込んだようなチャーリー・ワッツのドラムス、猥雑なミック・ジャガーのボーカルが渾然一体になった団子状の音圧が強烈という、完全にオリジナルを凌駕する出来栄えで、チャート12位のヒットになっています。


4・・・Bye Bye Johnny
5・・・Money

『バイ・バイ・ジョニー』はロックンロールの大御所=チャック・ベリーが1960年に発表した作品のカバーで、タイトルからも推察出来るように、名曲「Johnny B. Good」の続篇という楽しいナンバーです。
ストーンズのバージョンはストレート・コピーというか、キース・リチャーズが十八番のチャック・ベリー風ギターをメインに据えた痛快な仕上がりになっていますが、ブライアン・ジョーンズのカウンター気味のアクセントがあるリズムギターや猥雑な味のあるミック・ジャガーのボーカルが、他にバンドには感じられないアクの強さで、魅力的です。
ちなみにこの曲は1972年12月に米国ロンドンレコードが主導して編集したアルバム「モア・ホット・ロックス」に収録されて発売されるまで、アメリカでは未発表でした。

『マネー』当時のアメリカのヒットチャートで主流だったのが、黒人レコード会社のモータウン及びその系列レーベルから発売されていたR&B作品で、これもそのひとつです。オリジナルは黒人歌手のパレット・ストロング:Barrett Strong が1960年にヒットさせたもので、イギリスのバンドの多くがカバーしていますが、一番有名なのがビートルズのバージョンでしょう。
 ですから、ここに収められたストーンズの演奏は、嫌でもビートルズと比べられる運命にあるのですが、これがなかなかの迫力! 猥雑なミック・ジャガーのボーカルと黒〜いハーモニカをメインに据えたギトギトのバックの演奏がゴッタ煮状態で、強烈な味があります。どっちもカッコイイ! というのが正直な感想です♪
 しかしこの曲もまた、1972年12月に米国ロンドンレコードが主導して編集したアルバム「モア・ホット・ロックス」に収録されて発売されるまで、アメリカでは未発表でした。


6・・・You Better Move On
7・・・Poison Ivy

『ユー・ベター・ムーヴ・オン』独特の泣き節で隠れ人気がある黒人R&B歌手のアーサー・アレキサンダーが、1962年4月に放ったヒット曲のカバーです。曲調はズバリ、せつない系の甘さがあり、ストーンズは生ギターや厚みのあるコーラスを用いて、ミック・ジャガーの泣き節を上手く引き立てた演奏を聞かせています。
 オリジナル・シンガーのアーサー・アレキサンダーアメリカのアラバマ州で活動していたローカル歌手でしたが、自作自演の才能があり、この曲を地元のスタジオで吹き込んだ後、大手のドット・レコードから全国発売されてヒットとなりました。聴いてのとおり南部で作られたわりには、あまり黒っぽくないところがヒットした要因だったと思われます。実際、米国ではポップス歌手としての扱いで、その後も小ヒットを出していますが、イギリスではリアルタイムでかなりの人気があったようで、多くのバンドや歌手がアーサー・アレキサンダーの演目をカバーしており、中でもビートルズが1stアルバムでカバーした「Anna」は有名です。
 それにしても、この曲のせつない雰囲気は絶品で、所謂マージービートに漂う、どこか胸キュンのフィーリングと繋がるものがあり、その意味でアーサー・アレキサンダーは歴史上の作曲家・歌手なのかもしれません。

『ポイズン・アーヴィー』ストーンズの全員が大ファンだったという、アメリカの黒人R&Bグループ=コースターズ:Coasters が1959年10月に放った大ヒット曲のカバーで、原曲にはオトボケ・ムードも漂っていましたが、ここで聴かれるストーンズの演奏は重いビートと粘っこいエレキギターが出色の、なかなかロック色が濃い仕上がりになっています。
実はこの曲には基本的に2つのテイクが存在しており、こちらはショート・バージョンというわけですが、アメリカでは例によってリアルタイムでは未発表でした。

8・・・Routte 66

ストーンズのイギリスにおける 1stアルバムで、モノラル盤しか存在していません。収録された12曲の全てが、1964年1月から2月にかけてロンドンで録音されていますが、実はその時期の彼等は国内巡業の真っ最中でした。しかしそれにしても素晴らしい出来栄えで、おそらくこのセッションには、日々の緊張感とヤル気がダイレクトに反映されたのでしょう。私は今でも愛聴しています。
ジャケットも秀逸で、サイドからの光をメインにした彼等の集合写真からは不良っぽさと黒っぽさがプンプンしてきます。しかも The Rolling Stones というバンド名すら入っていないという物凄さです! そして結果は大ヒット♪ イギリスのチャートでは堂々の第1位を5月2日から12週間も続けています。
原曲は、小粋な弾語りと曲作りでジャズ者に隠れ人気があるボビー・トゥループという白人が1946年に発表していたもので、ナット・キング・コールの十八番として1956年に吹き込まれたバージョンが決定版とされています。そして1960年には、アメリカでこの歌をモチーフにしたTVドラマまで作られたという人気曲ですから、大勢のミュージシャンに取上げられていますが、その中にはストーンズが敬愛するチャック・ベリーのバージョンもあり、ストーンズはそれに準じた演奏を聴かせてくれます。


9・・・ Carole

これもオリジナルはチャック・ベリーが1958年10月に放ったヒット曲のカバーということで、ストーンズにとっては得意中の得意だったのでしょう、ここでの演奏は余裕の中にも手拍子を入れてビートを強める十八番のノリが感じられます。
またオリジナルではピアノとアフタービートを強調したスネアドラムが印象的でしたが、ストーンズのカバーでは、やはりキース・リチャーズのギター! それとチャーリー・ワッツのシンバルが鮮やかで、ロックンロールを越えてロックになっている名演だと思います。

10・・・Walkin' The Dog

オリジナルはアメリカ南部出身の黒人歌手にして芸人としても超一流のルーファス・トーマスが、自作自演して1963年12月に大ヒットさせたダンス曲です。ということは、このアルバム製作時にはリアルタイムで流行っていたわけですが、これを逸早くカバーしたストーンズは、原曲の良さを活かしつつもギターを中心としたロック・バージョンに作り変えており、全く見事!。
犬を呼ぶ口笛、十八番の手拍子によるビートの強化、卓越したギターの絡みと凄み、与太者風のミック・ジャガーの歌唱、永遠に持続するバンド全体の若々しいノリ等々、本当に最高で、何度聴いても飽きません。ストーンズの素晴らしさが完璧に出た必聴の名演です。


11・・・It's All Over Now

1964年6月10-11日、米国、シカゴのチェス・スタジオ
ストーンズが1964年6月に敢行したアメリカ巡業中に、シカゴ・ブルースの総本山ともいうべきチェス・スタジオで録音した名演・名曲です。もちろん、このチェス・スタジオはストーンズのメンバーにとっては憧れの聖地だったわけですし、スタジオのスタッフはブルースの伝説を作り上げた偉人達、さらに現場には大物ブルースマン達が様子を見に来ていたと言われています。
そしてそんな中で、これだけの素晴らしい演奏を残したストーンズのクソ度胸は、やはり大したものだと思います。
肝心の楽曲は、1964年のリアルタイムで小ヒットしていたヴァレンティノズ:Valentinos のオリジナルで、作曲には後年ストーンズとも共演することになるボビー・ウーマックが関係しており、ヴァレンティノズは、ボビー・ウーマックを中心とした黒人兄弟グループでした。
そのオリジナルの演奏は、けっこうジャズっぽいノリが隠し味でしたが、ストーンズはそこにカントリー風味を付け加え、さらに間奏では十八番のチャック・ベリー風ギターが活躍するというアレンジに仕立て直しています。そしてここでは、鬼のように暴れるブライアン・ジョーンズのリズムギターが圧巻!
さらにここで聴かれる音の雰囲気は、当時リアルタイムでこのスタジオから送り出されていた一連のチェス・レコードの作品群と同質の味わいがあります。それは地元録音技師のロン・マロ:Ron Malo の手腕によるもので、一説にはチェス・スタジオでのレコーディングに必ずしも積極的ではなかったアンドルー・オールダムに代わって現場を仕切っていたのが、ロン・マロだったと言われています。もちろんそれはバンド側の望むところでした。


12・・・Around And Around


録音:1964年6月10-11日、米国、シカゴのチェス・スタジオ
カバー物ながら、ストーンズが駆け出し時代から自己主張を明確にしていた代表曲で、そのオリジナルはロックンロールの神様=チャック・ベリーが1958年に発表した説明不要の名曲ですが、ストーンズはそれを完全に薬籠中の物として自分達のスタイルに仕立て上げています。
そのキモはもちろんキース・リチャーズの一芸主義のギターで、チャック・ベリーのスタイルを自己満足的に解釈したフレーズとノリは本当に見事! ロックンロールをロックに、完全変換させているのです。


13・・・Under The Boadwalk

ソウル・コーラスのスタイルを確立したアメリカの黒人グループ=ザ・ドリフターズが1964年8月に大ヒットさせた名曲のカバーに、なんとストーンズはリアルタイムで挑戦! オリジナルはストリングスやラテンパーカションを使い、とても洗練された仕上がりのスウィートな黒っぽさが魅力でしたが、ストーンズもストリングスこそ使っていませんが、そこは忠実なコピーに専念していますし、ミック・ジャガーの歌いまわしもソフトです。
こういう演奏は明らかに当時のストーンズには異質ですが、おそらくバンドにポップな感覚を求めるアンドルー・オールダムの仕掛けかもしれません。

14・・・You Can't Catch Me


1964年11月5-8日、米国、シカゴのチェス・スタジオ
ストーンズが尊敬するチャック・ベリーが1955年に発表した、というよりも、現代ではビートルズ時代のジョン・レノンが作った「Come Together」の元ネタにされたという歴史的名曲です。
まあ、それはそれとして、このストーンズのカバーはオリジナルのチャック・ベリー・バージョンを徹底コピーしており、特にチャーリー・ワッツのドラムスはモロですし、キース・リチャーズのギターは言わずもがなのチャック・ベリー節が全開という、憎めない出来になっています。

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内田氏が番組の中でレア盤と紹介していたドイツのエクスポート盤です。